天台宗と真言宗のちがい(最澄と空海)

天台宗は最澄が開いた宗派で、比叡山延暦寺(滋賀県)が中心です。真言宗は空海が開いた宗派で、高野山金剛峯寺(和歌山県)が中心です。どちらも平安時代の初め、唐で学んで帰った僧が開き、都からはなれた山の中で修行する新しい仏教でした。
表でくらべる
| 最澄 | 空海 | |
|---|---|---|
| 宗派 | 天台宗 | 真言宗 |
| 開いた寺 | 比叡山延暦寺(滋賀県) | 高野山金剛峯寺(和歌山県) |
| おくり名 | 伝教大師 | 弘法大師 |
| 特徴 | のちに鎌倉仏教の開祖を多く育てた | 書にすぐれ「弘法にも筆の誤り」のことわざで知られる |
入試では、「人物・宗派・寺・場所」の4つを正しく組み合わせられるかが問われます。最澄=天台宗=比叡山延暦寺=滋賀県、空海=真言宗=高野山金剛峯寺=和歌山県、と横にそろえて覚えましょう。
2つの宗派が開かれた流れ
奈良時代の仏教は、都の大寺院が政治に深く関わっていました。794年に平安京に都を移した桓武天皇は、奈良の大寺院が政治に関わることをきらい、新しい仏教を求めました。
最澄と空海は、どちらも804年の遣唐使とともに唐へわたり、新しい仏教を学んで帰国しました。そして806年に、最澄が天台宗を、空海が真言宗を開きました。
年号の語呂合わせ806年
晴れろ(806)、比叡の空に最澄の天台宗。同じ年に空海が真言宗
天台宗(最澄・比叡山延暦寺)
最澄は近江(滋賀県)に生まれ、若いころから比叡山で修行しました。唐で天台の教えを学んで帰国し、比叡山延暦寺を拠点に天台宗を開きました。死後、伝教大師のおくり名が与えられました。
延暦寺は仏教を学ぶ中心の場となり、鎌倉時代に新しい仏教を開いた法然・親鸞・栄西・道元・日蓮は、みな延暦寺で学びました。一方で延暦寺は多くの僧兵をかかえて大きな力をもち、戦国時代の1571年には織田信長に焼き討ちされました。
真言宗(空海・高野山金剛峯寺)
空海は讃岐(香川県)に生まれ、唐の長安で密教を学んで帰国し、真言宗を開きました。816年に嵯峨天皇から高野山を与えられて金剛峯寺を建て、京都の東寺(教王護国寺)も任されました。死後、弘法大師のおくり名が与えられました。
空海は書の名人としても知られ、嵯峨天皇・橘逸勢とともに三筆とよばれます。「弘法にも筆の誤り」ということわざの弘法は、空海のことです。庶民のための学校である綜芸種智院を開いたことでも知られます。
覚え方
空海は「こう」だらけ:弘法大師・高野山・金剛峯寺・教王護国寺
奈良の仏教とのちがい・その後の仏教
天台宗と真言宗は、それまでの奈良の仏教とは性格がちがいます。また、平安時代の中ごろからは、別の新しい教えが広まります。仏教の流れとして整理しておきましょう。
仏教の移り変わり
- 奈良時代国を守るための仏教。都の大寺院が中心(東大寺の大仏・国分寺)
- 平安時代の初め山の中で修行する仏教(密教)。天台宗と真言宗。祈とうで願いをかなえるとされ、貴族に広まる
- 平安時代の中ごろ念仏を唱えて極楽浄土に生まれ変わることを願う浄土教(平等院鳳凰堂)
- 鎌倉時代延暦寺で学んだ僧たちが、わかりやすい新しい仏教を開く(鎌倉新仏教)
最澄と空海の仏教が広まった時期の流れは、平安初期の仏教(密教)の項目にまとめています。鎌倉時代の新しい仏教は鎌倉新仏教で確かめられます。
入試のポイント
- 最澄=天台宗=比叡山延暦寺(滋賀県)、空海=真言宗=高野山金剛峯寺(和歌山県)の組み合わせ
- 二人とも804年の遣唐使とともに唐へ渡って新しい仏教を学んだ
- 奈良の仏教とちがい、都から離れた山の中で修行する仏教(密教)だった
- 延暦寺は鎌倉新仏教の開祖(法然・親鸞・日蓮など)が学んだ場所としても出題される
- 空海=真言宗=高野山金剛峯寺(和歌山県)。京都の東寺も空海の寺
- 弘法大師は空海のおくり名。「弘法にも筆の誤り」の弘法は空海
- 最澄・空海の仏教は加持祈とうで現世の願いをかなえる密教で、貴族に広まった
- 綜芸種智院(庶民の学校)や満濃池の修築も空海に関係する
よくあるまちがい
人物と宗派・寺の組み合わせを取りちがえる
最澄が天台宗で比叡山延暦寺、空海が真言宗で高野山金剛峯寺です。最澄の項目にある覚え方「さ・て(最澄=天台)、く・し(空海=真言)」のように、頭文字でつなぐ方法もあります。
比叡山と高野山の場所を逆に覚える
比叡山は滋賀県(京都府との境)、高野山は和歌山県です。比叡山は琵琶湖のそば、と覚えると場所を思い出しやすくなります。
伝教大師と弘法大師を取りちがえる
伝教大師が最澄、弘法大師が空海です。「弘法にも筆の誤り」の弘法は、書の名人だった空海です。
鎌倉新仏教の開祖が学んだ寺を金剛峯寺と答える
法然・親鸞・栄西・道元・日蓮が学んだのは、最澄が開いた比叡山延暦寺です。
確認問題
答えを考えてから、問題をタップして答えと解説を確かめましょう。
Q1『延暦寺』をつくった人物はだれでしょう。
最澄
延暦寺(788年)。最澄が比叡山に建てた天台宗の中心となる寺です。つくった人物は最澄です。
Q2『金剛峯寺』をつくった人物はだれでしょう。
空海
金剛峯寺(816年)。空海が和歌山県の高野山に開いた真言宗の中心となる寺です。つくった人物は空海です。
Q3最澄が天台宗を開いたのは何年でしょう。
806年
最澄が天台宗を開く(806年)。唐から帰った最澄が、比叡山に延暦寺を建てて天台宗を開きました。ごろ合わせ: 晴れろ(806)、比叡の空に最澄の天台宗。同じ年に空海が真言宗
Q4空海が真言宗を開いたのは何年でしょう。
806年
空海が真言宗を開く(806年)。唐で密教を学んで帰った空海が真言宗を開き、高野山に金剛峯寺を建てました。ごろ合わせ: 晴れろ(806)、高野の空に空海の真言宗
つぎのステップ
年代と内容は、教科書・塾教材の記述にそろえた学習用のものです。異説がある年は、年表アプリの項目の中に記しています。まちがいを見つけたらお問い合わせから教えてください。