能と狂言のちがい

ちがい室町時代文化・くらし

能と狂言のちがいの要点をまとめたイラスト

能は、面をつけた役者が、うたいと舞で歴史や伝説の物語を演じるまじめな劇で、観阿弥・世阿弥の親子が大成しました。狂言は、能の合間に演じられる、せりふ中心のこっけいな劇です。どちらも室町時代に猿楽から生まれ、あわせて能楽とよびます。

2026/09/20 公開・ふりがなつき

表でくらべる

能のう狂言きょうげん
内容歴史や伝説をうたいと舞で演じる(まじめ)庶民しょみんの生活をせりふでこっけいに演じる
面面をつけるふつうは面をつけない
大成した人観阿弥かんあみ・世阿弥ぜあみ特定の人物なし
上演能のうの演目の間に狂言きょうげんが演じられる
年表で「能」を見る

見分けるときは、「まじめか、こっけいか」と「面をつけるか」を見ます。面をつけて、うたいと舞で静かに演じるのが能のう、面をつけずに、せりふで笑いをさそうのが狂言きょうげんです。狂言きょうげんは、能のうの演目と演目の間に演じられます。

能と狂言が生まれた流れ

猿楽さるがくから能のう・狂言きょうげんへ

  1. 1猿楽さるがくや田楽でんがくという、庶民しょみんの芸能があった
  2. 2観阿弥かんあみ・世阿弥ぜあみの親子が、猿楽さるがくを、うたいと舞で物語を演じる能のうに高めた
  3. 33代将軍しょうぐん足利義満あしかがよしみつが観阿弥かんあみ・世阿弥ぜあみを保護し、能のうは武家ぶけの間にも広まった
  4. 4能のうの合間には、同じ猿楽さるがくから生まれたこっけいな劇、狂言きょうげんが演じられた

猿楽さるがくは、もともと物まねや曲芸を中心とする庶民しょみんの芸能でした。観阿弥は田楽でんがくなどのよさを取り入れ、歌と舞で物語を演じる能のうへと発展はってんさせました。京都きょうとで息子の世阿弥とともに演じた舞台を足利義満が見て感動し、以後は幕府ばくふの保護を受けました。

能

能のうは、面をつけた役えき者が、うたいと舞で物語を演じる日本の古典劇です。はやし(笛・鼓・太鼓)に合わせて静かに演じます。世阿弥ぜあみは『高砂』『井筒』など多くの能のうの脚本をつくり、能のうの教えを『風姿花伝ふうしかでん』にまとめました。「初心忘るべからず」は世阿弥ぜあみの言葉です。

能のうは、足利義満あしかがよしみつのころの北山文化を代表する芸能です。北山文化きたやまぶんかは、公家くげの文化と武家ぶけの文化が合わさった華やかな文化で、金閣も同じ文化の代表です。

覚え方

能のう=観阿弥かんあみ・世阿弥ぜあみ=義満よしみつの保護=北山文化きたやまぶんか(狂言きょうげんとセット)

能を大成した観阿弥と世阿弥

観阿弥かんあみは大和やまと(奈良なら県)の猿楽さるがくの一座の役えき者で、世阿弥ぜあみの父です。世阿弥ぜあみは少年時代に足利義満あしかがよしみつに認められ、幕府ばくふの保護のもとで能のうを発展はってんさせました。世阿弥ぜあみは、幽玄とよばれる、静かで深みのある美しさを追い求めました。

世阿弥ぜあみは、父から受けついだ能のうの教えを『風姿花伝ふうしかでん(花伝書)』などの書物にまとめています。晩年は6代将軍しょうぐんの足利義教あしかがよしのりににくまれ、佐渡さどに流されました。入試では「能のうを大成した人物」として、観阿弥かんあみ・世阿弥ぜあみの親子をセットで答えさせる問題がよく出ます。

狂言

狂言きょうげんは、能のうと同じく猿楽さるがくから生まれた芸能で、能のうの演目の間に演じられます。当時の話し言葉のせりふを中心に、笑いをさそう内容を演じます。太郎冠者という家来がずるがしこく主人をだます話など、庶民しょみんのくらしや当時の世の中を生き生きとえがいています。大名だいみょうや僧そうをからかう内容もあります。「附子(ぶす)」「柿山伏」などの演目がよく知られています。

狂言きょうげんは当時の話し言葉で庶民しょみんの生活をえがくので、室町時代むろまちじだいの人々の様子を知る手がかりにもなります。能のうと狂言きょうげんはあわせて能楽といい、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。

覚え方

能のう=面をつけて静かに/狂言きょうげん=せりふでこっけいに(能のうの合間)

ほかの時代の芸能と区別する

入試では、能のう・狂言きょうげんを、江戸時代えどじだいの芸能と取りちがえさせる問題も出ます。時代で分けておきましょう。

室町時代むろまちじだい

  1. 北山文化きたやまぶんか能のう(観阿弥かんあみ・世阿弥ぜあみ)と狂言きょうげん

江戸時代えどじだい

  1. 江戸時代えどじだいの芸能歌舞伎・人形浄瑠璃にんぎょうじょうるり

入試のポイント

  • 大成した人=観阿弥かんあみ・世阿弥ぜあみ、保護した将軍しょうぐん=足利義満あしかがよしみつ、北山文化きたやまぶんか
  • もとになった芸能=猿楽さるがく・田楽でんがく
  • 能のう(まじめな歌舞劇)と狂言きょうげん(こっけいなせりふ劇)の区別
  • 歌舞伎・人形浄瑠璃にんぎょうじょうるり(江戸時代えどじだい)との区別
  • 能のうの合間に演じられるこっけいなせりふ劇
  • 当時の話し言葉で庶民しょみんの生活を描く→室町時代むろまちじだいの人々の様子がわかる
  • 能のうと狂言きょうげんをあわせて能楽(無形文化遺産)

よくあるまちがい

能と狂言の内容を逆に覚える

能のうが「まじめな歌と舞の劇」、狂言きょうげんが「こっけいなせりふの劇」です。「狂言きょうげん」という字から、笑いをさそう劇のほうだと結びつけましょう。

能を保護した将軍を足利義政と答える

能のうを保護したのは3代将軍しょうぐんの足利義満あしかがよしみつで、北山文化きたやまぶんかです。8代将軍しょうぐんの足利義政あしかがよしまさは銀閣ぎんかくを建てた人で、東山文化ひがしやまぶんかです。

観阿弥と世阿弥の親子を逆に覚える

観阿弥かんあみが父、世阿弥ぜあみが子です。『風姿花伝ふうしかでん』を書いたのは、子の世阿弥ぜあみです。

能を歌舞伎と同じ時代のものと考える

能のうと狂言きょうげんは室町時代むろまちじだい、歌舞伎と人形浄瑠璃にんぎょうじょうるりは江戸時代えどじだいの芸能です。

確認問題

答えを考えてから、問題をタップして答えと解説を確かめましょう。

  1. Q1面をつけた役えき者が、うたいと舞で物語を演じる日本の古典劇です。庶民しょみんの芸能だった猿楽さるがくを、観阿弥かんあみ・世阿弥ぜあみの親子が足利義満あしかがよしみつの保護のもとで芸術に高めました。この説明にあてはまる古典劇を何といいますか。

    能のう

    能のうは、猿楽さるがくや田楽でんがくといった庶民しょみんの芸能から生まれました。

  2. Q2能のうの合間に演じられる、せりふ中心のこっけいな劇です。当時の話し言葉で庶民しょみんの暮らしをおもしろく描き、大名だいみょうや僧そうをからかう内容もあります。この説明にあてはまる劇を何といいますか。

    狂言きょうげん

    狂言きょうげんは能のうと同じく猿楽さるがくから生まれた芸能で、能のうの演目の間に演じられます。

  3. Q3『○○(父)と世阿弥ぜあみ(子)で能のうを大成、保護者は足利義満あしかがよしみつ』という特徴にあてはまる人物はだれでしょう。

    観阿弥かんあみ

    大和やまと(奈良なら県)の猿楽さるがくの役えき者で、世阿弥ぜあみの父です。

  4. Q4観阿弥かんあみの子で、父とともに能のうを大成した人物です。多くの能のうの脚本を書き、能のうの理論を『風姿花伝ふうしかでん』にまとめました。この人物はだれでしょう。

    世阿弥ぜあみ

    世阿弥ぜあみは観阿弥かんあみの子で、少年時代に3代将軍しょうぐん足利義満あしかがよしみつに認められ、幕府ばくふの保護のもとで能のうを発展はってんさせました。

室町時代の一問一答でもっと解く

つぎのステップ

年代と内容は、教科書・塾教材の記述にそろえた学習用のものです。異説がある年は、年表アプリの項目の中に記しています。まちがいを見つけたらお問い合わせから教えてください。